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カナダ留学を振り返って…

カナダ マギル大学

法学部4年 川口由起子

 

 今年度如水会、明治産業株式会社、明産株式会社のご支援によりカナダのマギル大学に派遣留学させていただきました。このような貴重な経験をする機会を与えていただき、心から感謝しております。

 

 私が留学したマギル大学は、トロントに次いでカナダで二番目に大きな都市、モントリオールにあります。冬にはマイナス二十度前後を記録するような極寒の地ですが、留学も終わる五月にはようやく春らしくなって参りました。

 

 モントリオールは様々な国からの移民を受け入れ、仏語と英語が行き交う多様性に富んだ美しい街です。趣のある古い建物と高層ビルが調和する町並みからは、人々が自分たちの歴史を大切にし、その上に新たな文化を作り上げていることが感じられます。

 

 私は、留学が始まった秋学期には比較政治の基礎と、今まで学ぶ機会のなかった中東政治を学び、冬学期はカナダの政治、カナダの歴史、アジア太平洋の外交を履修しました。マギル大学には、日本ではあまり見られないDepartment of Political Scienceがあり、政治という領域を体系的に学習することができました。

 

 留学中は、慣れない英語による授業に苦労しながら、授業ごとに出される課題と格闘する日々でした。特にDepartment of Political Scienceは私の所属するFaculty of Artsの中でもハードなことで有名で、他の生徒と肩を並べて授業に参加したいという思いにも関わらず自分の意見を英語で上手に伝えることができず、悔しい思いをすることも多々ありました。

 

 とはいえ、課題に積極的に取り組み、教授やTeaching Assistantのオフィスアワーを活用することにより、そのギャップを埋め、授業の理解を深めることができました。

 

 私は今回の留学における目標を、英語を身につけつつ「国家とは何か」を考えることとしていました。この留学は、授業のみならずモントリオールでの生活や友人との交流を通して多くのことを考え、学ぶ非常に充実した時間となりました。

 

 カナダに来てまず驚いたのが人々の積極性です。キャンパスには学生の意見を発信すべく活動している学生団体が多くあり、年間を通して様々なイベントが開催されていました。

 

 私もこのようなイベントに参加したり、NGOのボランティア活動に加わったりすることを通して、Individualismがカナダ社会に根付いていることを実感しました。「誰かがやるのを待つのではなく、まず自分が行動する」、一人ひとりのこうした精神が、カナダの活発な市民社会そして民主主義を支えているのではないかと思います。

 

 また、大学で知りあった留学生や二世、帰化した友人達は自らのoriginとなる文化をとても大切にしていました。このような海外での生活を通して初めて、自分が日本人であることを強く意識するようになりました。

 

 ここモントリオールでは日本語を学んだことのある人や日本に対して好感を抱いている人が多く、車やロボット技術、寿司、日本茶、着物、アニメなど日本文化の価値を再確認するとともに、日本は世界に誇れる国であることを改めて実感しました。

 

 著しい経済成長を遂げる中国への関心が高まる中、民主主義・経済的先進国としてカナダと共通の価値観を持つ日本が世界に対して今後どのような役割を果たせるか、考えていかなければいけないと思いました。時には、さりげない言葉や振る舞いから、無意識のうちに西洋人を上に置いた見方をしているのだなと感じることもありましたが、多くのカナダ人は日本人に対して友好的であり、楽しい留学生活を送ることができました。

 

 さらに、日本にいては深く知ることの叶わなかったカナダ国内政治の抱える深刻な問題を垣間見ることもできました。例えば、71年にカナダ政府は多文化主義を政策として掲げ、以来これを世界に広めていきましたが、この考え方には問題点も多く存在しているようです。

 

 第一に、概念自体の問題点として、多文化主義と自国の文化がないのは表裏一体なのではないのでしょうか。米国と比較して地方分権政治を特徴とするカナダでは、建国時代から現在に至るまでnational identityの形成に失敗したとも言われています。

 

 第二に、多文化主義の本質は全ての人が同じく尊重されるものであるにも関わらず、弱いグループに属する人の意見は尊重されないことがあります。First nationsに関しての問題は世界観に相違があり、ケベック州の独立問題、女性の権利の充実など今後解決すべき問題が多数見られます。

 

 このようにカナダにおいても、多数派による少数派の差別・抑圧、持てる者の持たざる者への差別と抑圧があるように思え、これを解決していくことは政治における一つの課題だと考えます。

 

 カナダ国内社会の問題は、私の専攻する国際政治における問題と共通する部分があります。この留学を通して、様々な人種・宗教・言語・文化の違いを超えて互いに尊重し合い調和して暮らせる世界をどのように創っていくのかという課題がより明確になりました。私は今回の留学経験を活かして、将来、国際社会の様々な問題解決の一翼を担っていくよう願っています。

 

 最後に改めて、私の留学を支援して下さった如水会、明治産業株式会社、明産株式会社、留学生課などご協力頂いた全ての方々に厚く御礼申し上げます。

2007/6/20

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